仕事

同僚が聴覚障害者。私にできる事。

職場には変化がつきものだ。それは望もうとも望まなくとも。

わたしの担当工程に難聴の人がやってきた。

さて、これからどうやっていこう。手探りが始まった。

彼は後天性の難聴だった

後天性難聴とは生まれてから何らかの原因で、耳が聞こえなくなることを後天性難聴と呼ぶそうだ。

彼は子供の頃に、高熱をだし聴力を失ったらしい。生まれてから少しの年月はその耳は生きていた。

だから彼は、少しだけしゃべる事できる。

といっても上手に発音できるわけでもなく、初対面で相手の性格が分からないうちは、コミュニケーションツールとして言葉は発しない。

苦手である発音をさらけだしたりはしない。しゃべれたとしても自分の声が、自分の耳には届かないのだから。

耳が生きている人にこの気持ちを理解してあげることは、到底無理だと思う。

聞き取りづらい言葉は沢山ある。それに対して、え?何?と聞き返されれば苦手なのに、頑張って伝えようとしている気持ちだって折れる。

だから使わない。

でも、私はほとんどの言葉を聞き取ることができる。ようはどのくらい相手と会話しているかだ。

彼のすごいところ

そんな彼は、健常者と同じような仕事を同じようにこなしている。聞こえないというハンデを持ちながらも、彼は必死に仕事をこなす。

もちろん難しい、出来ない仕事もあるだろう。

五感による情報源が、健常者より一つ少ない彼には、音を聞いての作業はもちろん向いていない。

彼は40歳を越えるが、見た目は若い。

相手の唇の動きで何を話しているかわかるそうだ。

しかし、完璧に読み取れる訳ではない。早口や、小さく口を動かす人の会話を読み取るのは大変難しいらしい。

普段耳からの情報に頼り切ってしまっている私には、口の動きで会話の内容を把握するなんて事は、至難のワザだ。

それに甘えて、口だけで会話をする同僚、先輩、後輩を心良くは思えなかった。

彼が苦労しているところ

仕事を覚えるために、耳は使えない。

筆談や、所作による説明。普通に教えるよりも時間がかかってしまうことはお分かりいただけるだろう。

それにより、指導側の不満が仕草に出始め、それを繰り返しされたときに彼は見逃さず気持ちが爆発した。

目で見た情報が、大きなウェイトを占める彼にとっては、表情の変化は特に敏感だ。

私との間ではなく、別の人との間に起きた出来事だったが、私が仲裁に入り、なんとか事なきを得た。

私も以後、気をつけなければと心に留めた。

手話を覚える

私は、筆談よりも、手話で話せた方が圧倒的にはやいと思った。

彼が同じ職場で働いていることは知っていたが、同じ工程で仕事をするのは今回が初めて。

今まではコミュニケーションをとる必要がそれほどなかったが、今や状況は違う。

私は彼に仕事を覚えてもらうため、それと危険から彼の身を守るために手話を覚えることにした。

手話の覚え方

まずは手話の本を購入した。

最初に指文字、「あ」から「ん」までの指文字を一通り覚えた。

頭に入れては繰り返し、休憩のたびに彼に見せ、勉強し復習した。

指文字は手先を動かすだけなので、直立・歩行状態でも学習はできる。

おかげで、1日で「あ」から「ん」までの指文字をゆっくりながらも覚えることができた。

周囲からみたら、指先をごにょごにょ動かす変なやつに見えたかもしれないが、おかまいなしである。

人の指先なんて、そんなに見るものじゃないだろう?

手話を覚えようとした過去

以前寮生活をしていたときに、聴覚障害者も入居していた。

コミュニケーションを図ろうと、手話の本を買ったが、結局そのときは覚えるに至らなかった。

私の中でそこまで強く必要だと感じなかった

それが一番の理由だと思う。

しかし今は違う。彼とのコミュニケーションツールのひとつとして手話は必須だと感じているからだ。

手話で会話すること

ほとんどの人が使うことのない手話。

私の職場でも手話をつかって会話をしているのは、聴覚障害者同士または、私を含め一部のひとだけである。

そんな私も、同じ仕事をする機会がなかったら、覚えることもなかったであろう手話の世界。

だからこそ、今手話を覚えて職場の人に対し思うことがある。

なぜ、覚えないのか?

私が言えた立場ではないが、私よりも身近で私よりも彼と長くつきあっている同僚は沢山いる。

それなのになぜ覚えないのだろうか?

必要じゃないから?彼が口の動きで会話を切り取れるから?筆談で十分?

理由はさまざまかもしれないが、彼の今までの努力に甘えすぎではないか?と思う。

本気で彼に仕事を教える気はあるのかと問いたい。

一緒に仕事をするようになっても、そういった努力をいっこうに行わない人が悲しい。

手話の難しさ

そんな偉そうに言う私だが、手話のレベルはそうでもない。

私は手話を覚えて約1年くらいしか経過していない。

手話を覚えたといっても、簡単な単語を100個くらい覚えているだけで、彼以外の聴覚障害者とうまくコミュニケーション出来るかというとそれは難しい。

なぜ彼以外とは難しいかというと、彼はある程度しゃべれるため、間違っていても確認ができる。言葉で教えてくれる。

それともう一つ、人によって解釈が微妙に違うという点。

これが厄介で、自分としてはうまく伝えられたと思っていても、きちんと伝わっていないことが沢山ある。

普通に会話できる人どうしでも、うまく伝わらないことを経験した事あるだろう?

手話や表情、口の動きだけで正確に伝えるのは、想像以上に難しい。これは本当に理解してほしい。

私やあなたが知らない単語があるように、彼にもわからない単語の手話は多くある。

また同じ指の形でも、文字の場合もあれば数字を表す場合もある。いきなり手話で会話されても、私のように経験の浅いものにはなかなか伝わらない。

また、指文字は自分では理解できるものの、相手にされると即座に読み取れない。

なぜなら、自分からみる手の形と、相手がだす手の形は違うから、即座に脳で変換できないのだ。

難しさを分かっていただけだろうか?

聞こえない事による危険性

私の働く職場は装置を動かす、オペレータが主である。

装置が異常になれば、アラーム音で異常を知らせるが、彼にはそれは伝わらない。

装置に近づき、画面に異常と表示されていることで気がついたり、操作が急に効かなくなったり、さまざまな要因で異常を検知するがタイミングが遅れる。

職場内では頻繁に館内放送を活用するが、それが聞こえない。

まだ経験はないが、災害による緊急放送があるかもしれない。

その放送は彼らには届かない。

出だしが遅れれば、最悪死に直結することもあるかもしれない。

本当に最悪のケースだ。

まとめ

私も与えられたこの機会に、必要性を感じ、新しい世界を学べて彼には感謝する。

彼に出会えたことで、手話の世界を知り、覚える事が出来たのだから。

それにしても手話はなかなか難しい。

関連記事

-仕事

Copyright© papa is Fun , 2020 All Rights Reserved.